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VINTAGE WILLIS&GEIGER: PIONEER OF THE SAFARI

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前回のまとまった入荷より約1年、今春も集めることができました。サファリクロージングのパイオニア、Willis&Geiger(ウィリスアンドガイガー)のヴィンテージ!

– Willis&Geiger – 
1902年、ベン・ウィリス氏の手によって誕生したフィールドウェア専門のブランド。探検家・学者の経歴を持つウィリス氏が提供する技術、アイデアは、ルーズヴェルトのアラスカ探検装備や大戦時の米軍フライトジャケットの製造を担うほどでした。1928年には実業家ハワード・ガイガー氏が経営に加わりWillis&Geigerと名乗り始めます。彼らが大衆に認知されたのは30年代。東海岸の富裕層の間でブームとなっていたアフリカ大陸のサファリ探検旅行に目をつけ、NYの老舗ハンティングメーカーAbercrombie&Fitchとの協業で後のブランドアイコンとなる屋外衣料用綿生地「ブッシュポプリン」の製造に成功するのです。追い打ちをかけるように人気に火をつけたのが、詩人であると同時に冒険家でもあるアーネスト・ヘミングウェイの存在。アフリカの荒野と動物をこよなく愛する彼はウィリスアンドガイガーのフィールドウェアを愛用し、特注のジャケットは数十年後に彼の名を冠したモデルとして登場してしまうほどでした。以降サファリというジャンルを牽引するにとどまらず、草創期に培った技術を武器にアメリカを代表するアウトドアブランドへと成長していきます。


Ernest Hemingway in his safari clothing

当店は古着屋ではないのでヴィンテージの取り扱いはイレギュラー、日ごろ良い出会いがあればランダムに店頭に並べていますが、このウィリスアンドガイガーだけは例外です。ニューヨークをはじめとする都市部の上流階級を顧客とした彼らのウェア。大きく括ればハンティングの一端かもしれませんが、それを生業とした山暮らしの狩猟服とは似て非なるものです。土臭さを感じないどころか、気品すら漂うウィリスアンドガイガー。富裕層の嗜みとして広まったサファリは、「アウトドアに生きるファッション」だと言えるでしょう。フィールドウェアでありながらインディビやビルズカーキといったアメリカの日常服と相性が良いのは、こんなところに起因しています。

やっぱり前置きが長くなりました。各詳細を見ていきます。


90’S BUSH SHIRT IN PEWTER
30,800 IN-TAX

まずはブランド定番の1モデルであるブッシュシャツ、素材はもちろんブッシュポプリンです。高密度な織りによって薮の中では蚊から肌を守りつつ、袖をおろしていても通気を阻害しない綿製。色名のPEWTERはスズを主成分とする合金「白目」を意味し、TANと並んでウィリスアンドガイガー定番のカラーです。

オリーブともグレーとも言えない、まさに燻された金属のような色合い。エポレット、フラップポケット、袖先のアジャスターボタンと、フィールドウェアらしい仕様の集合。シャツ型ではあるものの、ベースレイヤーというよりはシャツジャケットなイメージです。近いスタイルながら、少しだけアウターとしての要素が強まる「シューティングシャツ」。


80’S BUSH SHOOTING SHIRT IN PEWTER
33,000 IN-TAX

ガンパッチと肩のコインポケットが付くことで一気にハンティングな面構えになりました。実は同じアメリカ製でも、タグの色や刺繍である程度の年代判別ができます。先ほどの紺地に鷲が飛ぶタグは大手通販企業LANDS’ END(ランズエンド)に買収された後のもの(90年代)で、緑や赤の地で下のデザインであればそれ以前です。おおよそ80年代ごろでしょうか。ランズエンドに買収された後もブランドはしばらく存続しましたが1999年に消滅しています。近ごろ巷で見かけるのはここ日本で企画された復刻。古いものに焦点を当てて蘇らせるのは素晴らしいことですが、USONIAN GOODS STOREで集めるのはあくまでオリジナル。多少のキズや汚れ、色ブレなんかもヴィンテージのアウトドアウェアから味わえる魅力です。

幸運にも全くの同型色違い。


80’S BUSH SHOOTING SHIRT IN TAN
33,000 IN-TAX

コットンポロをインナーに、下はショートパンツが合いそうです。サファリがハンティングの兄弟だからといって身構えず、軽快な春夏のトラッドに落とし込んでください。それこそがウィリスアンドガイガーらしいスタイルです。

ご紹介するすべてが珠玉のヴィンテージでおすすめ!ではあるものの、イチオシを聞かれればこのブッシュジャケットをまっさきに挙げるでしょう。長めに取られた着丈に、小ぶりな胸ポケット、腰のフラップはなぜだかウェスタン調。ここまでくるとファッションとしての要素が強く、ポロカントリーあたりのカタログに載っていても違和感は無さそう。写真を撮っていて改めて惚れ惚れしてしまいました。とにかくバランスが良いです。


90’S BUSH JACKET IN PEWTER
55,000 IN-TAX

こちらもランズエンドの買収前。もちろんMADE IN USA。ウィリスアンドガイガーに精通したディーラー曰く、ピューターは元々の生産数が少ないようです。たしかにヴィンテージで見かける割合が大きいのも圧倒的にタン。この個体最大のプラスポイントはベルトが付属していること。少々着こなしが難しいミドル丈のジャケットも、ギュッと絞ってウエストラインを強調すればエレガンス漂うトラッドスタイルの完成です。ベルト含めて状態は抜群。何かと迷子になりがちな春先のコーディネートを支えてくれる存在になりそうです。

ここからオーバーコート部門です。


90’S QUAIL COAT IN TAN “DEADSTOCK”
88,000 IN-TAX

一度目の入荷時にはご紹介の前に売り切れてしまったクエイルコート。そのデッドストック!他の多くのモデル同様ブッシュポプリンをメインファブリックとしながらも、襟袖がコーデュロイで切り替わったウィリスアンドガイガーの中でも特にファッション性の高いアウター。現代的なスタイルにもナチュラルに溶け込みそうです。カタログを読むとQuarpalという文言を見つけました。ミリタリーにはあまり詳しくありませんが、調べていくとM-65などにも用いられる米陸軍開発の布地用撥水処理とのこと。あくまで当時の基準ですが、従来の撥水素材と比較すると繰り返される洗濯に対して圧倒的な耐久性を誇っていたようです。


Vintage Willis&Geiger catalog

右前レディース合わせですが実寸はメンズM〜Lくらい。過度なウエストの絞りもなく違和感なく羽織ることのできるシルエットです。残る販売用の紙タグにはもちろんLANDS’ ENDのロゴが入ります。保管時のヤケもない美品はとても珍しいですね。

最後にご紹介するのは今回集まった中で断トツに古い年代のジャケット。1960年代ごろの製造だと推測されるヴィンテージです。


60’S HUNTING JACKET IN BROWN
68,200 IN-TAX

50年以上も前の洋服、それもアウトドアウェアなのにも関わらずどこか洗練された感じがするのはウィリスアンドガイガーならではの魅力でしょう。ライトブラウンのコーデュロイに、同系色のレザーで切り替わったガンパッチやポケットウェルト。サファリ生まれの機能美に息を呑みます。

古い年代のロゴデザインはシンプルで力強く惹かれます。

そんなこんなでとっておきの6着。マニアックなジャンルですが、服好きにこそおすすめしたい服、それが「サファリ」です。とにかく奥深い世界ではありますが、その入り口が歴史を牽引したウィリスアンドガイガーのウェアであれば最高ではないでしょうか。

オンラインへの掲載はしばらく先になりそうです。ヴィンテージなので店頭で試着がおすすめですが、難しい方は店舗通販を承りますので下記フォームよりお気軽にご連絡ください。店頭であればハチペイのインストールをお忘れなく。2月いっぱいは驚きの30%還元です。それでは!

ショーゴ

2023/02/21

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