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ALDEN TRUNKSHOW : My Recomendation Vol.3
既に多くのお客様にご来店頂いている、先週末から開催中の「ALDEN TRUNK SHOW」。
おとといからリレー形式でお届けしているスタッフのオススメ紹介は、三森の「TASSEL」、高橋の「V-TIP」に続き、わたくし山崎で最終回となります。
レコメンデーションと名付けられたブログである為どんなモデルの靴を紹介しようかと考えてはいたのですが、丁度同型で別素材のモデルがありましたので、今回は素材にフィーチャーしようと思います。
ALDEN
“LONG WING”
975(BURGUNDY)/97522(BLACK)
言わずと知れたALDENの975(#8)は長い歴史を誇る大名品であることに疑いはありません。
素材の話に移る前に型の話を少しだけ。名前だけ紹介して素材から話始めるなんてのは無粋でしょう。
LONG WINGと名付けられたこのシューズでいの一番に語る必要がある部分と言えば、靴全体に施されたブローキングと言えましょう。穴飾りですね。
このブローキングは、つま先、アイレット、履き口、そしてなんといってもこの靴にロング ウィングという名前を与えた特徴、つまり靴に沿って一直線に走るパネルに沿って施されています
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穴が多ければ多いほどカジュアルとされる革靴で、ここまでラグジュアリーに仕立て上げられた形はALDENの中でもトップクラス。
そんなLONG WINGが今回はぞれぞれ別素材の2種類の革にてご用意できました。
まずは975(#8)。バーガンディーと呼ばれる紫茶っぽい色の方ですね。こちらの素材が皆様も一度は耳にしたことがあるであろう、「コードバン」になります。
もう一方の97522(BLACK)。こちらの素材はクロムエクセルと呼ばれる素材。
どちらもアメリカ・イリノイ州シカゴに所在する老舗のタンナー、ホーウィン社が誇る最高級の素材であります。
「そんなもん知ってるわ!」と思う方も大勢いることは重々承知してますが、今一度それぞれについて深掘りしていきましょう。
まずは先に述べたホーウィン社からざっくりと。
1905年に創業した皮鞣しのメーカーは、現代まで続く100年以上もの間変わらない伝統的な手法で皮を鞣し続けています。創業者であるイシドール・ホーウィンは、こんな言葉を残します。
「私たちは、最高のものすべてを取り入れるべきです。最高の皮革、最高のオイル、最高の染料と仕上げ。そして、その革を最高のものにするために必要なことは何でもします。価格は最後に残ります。価値に見合った価格で販売できないのであれば、その革を作るべきではありません。」
この言葉だけでも、彼らの作る革についての品質は保証されていると言えるでしょう。
そんなホーウィン社の誇る2大皮革を比較します。
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この時点でもかなりの違いがあることがお分かりいただけるかと思います。
クロムエクセルを使用した左は鈍く光る光沢が特徴的。かえってコードバンを使用した右は、所謂革靴って感じの綺麗な光沢が特徴です。これはそれぞれの革の特徴をよく表しており、クロムエクセルは長い時間をかけてオリジナルにブレンドされた油脂をたっぷりと染み込ませるため、独特の質感を生み出します。もっちりとしていて重く、堅牢です。
ではなぜコードバンは、ここまで綺麗な光沢が生まれるのでしょう。それは原料に秘密があります。
コードバンは馬の臀部にある非常に硬い部分からできています。一般的に皮は2つの層から成り立っており、一番表層の光沢のある部分を表面に削り出します。しかし、コードバンの元である馬の臀部は、一般的な2層に加えてもう1層「コードバン層」なるものが存在します。これは、農耕馬の起源となる野生の馬が、天敵である肉食のオオカミなどに背後から襲われたとき、お尻に噛みつかれても致命傷を負わないように臀部に固いコラーゲン層を発達させたのが、コードバン層と呼ばれる部分となっています。通常、一般的な皮革の網状層は、繊維が横方向へ複雑に絡み重なりあっているのですが、コードバン層は繊維が縦方向に緻密に配列されています。その部分を先に述べた削り出しにより露出させることで、その緻密な繊維が光沢や質感の美しさの元になっているわけです。
次に、革の変化についての紹介です。
やはり革靴に興味のある皆様であれば、経年変化に対する興味を持つことは必然でしょう。
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今回の比較では同型のLONG WINGはクロムエクセルしかご用意が叶わなかったのですが、素材が同じのためイメージはしていただけるかと。
まずはクロムエクセルですが、実は見た目としての革自体の経年変化はさほどありません。これはクロムエクセルの素材が持つ特徴によるものであり、前述したたっぷりとオイルを染み込ませる作業によって、丈夫な質感を手に入れるため頻繁な手入れの必要が無い事が原因となります。
しかし、さらに長い年月を重ねることでクロムエクセルレザーの大きな特徴である茶芯による影響が出てくることでしょう。これは、芯を茶色く残してそのうえから染め上げる工程があることにより、オイルを多く含むレザーならではの退色が楽しめることかと思われます。(もちろん、黒いクリームを塗り続けることで、退色を回避することは可能です)
また着用にあたって、特筆すべきメリットが水に強いという点でしょう。店長高橋曰く、急な雨でも靴の中まで浸水することがなく、帰宅してすぐのケアにより全く変化はなかったとの事。革靴を履くにあたって、一番のメリットとも言えそうです…
次にコードバンですが、こちらはかなりいい艶が出ていますね。
コードバンは非常に頑丈で牛革の3倍の強度を持つといわれています。しなやかで耐久性のあるコードバンは、永く使うのにぴったりの革素材であるため、エイジングによる所有者それぞれの色が出やすい素材であるとも言えます。実はわたし自身もコードバン素材のALDENを所有しているのですが、ケアに使用するシュークリームを本来のバーガンディーではなく深いブラウンにしているため、本来は明るい茶色に向かって退色していく#8のコードバンも、深い赤っぽい雰囲気に仕上がってきております。これに関しては1年前に、わたし自身のブログにて語っておりますので詳しくはそこからぜひ。
このように、それぞれの色を出せることがコードバンの1つの魅力と言えましょう。
しかし注意していただきたいのが水への弱さ。急な雨やこぼした飲みものが付着した場合、すぐにケアをしなければ水ぶくれの様な形になります。もし着用時にゲリラ豪雨にあった場合は裸足で帰りましょう。
大分長々としたブログになってしまいましたが、これでもまだまだ語ることは山ほどあります。がしかし、これ以上は読む人が減って来そうな文章量になりそうなので、ここいらにしておきましょう。
素材に焦点を当てた靴選び。意外とそんな機会は少ないかもしれません。
そんな贅沢な選び方ができるのは、ALDENだからこそです。
山崎




2025/03/11
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