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アメリカ道中記~西のセトルマイヤーズ編~

アメリカ道中記 |

前回のインディビジュアライズドシャツ編から少々時間をあけての道中記も本日で3回目。本当はオールドソルジャー編を考えていたのですが、11月23日から開催のUSONIAN WESTERN STOREと関連付けて、今回の旅路で最後に訪れた、西海岸はオレゴン州・ポートランドでの旅の一部始終を、セトルマイヤーズでの体験談合わせてお伝えします。

ポートランドに降り立った後、チェックインを済ませた後は、限りある時間を使ってホテル周辺を散策。東側とは違った乾いた空気に、ロスアンゼルスに住んでいた頃の懐かしさを覚えつつ、コロナの影響からかシャッターが閉まった店も多くあり、少しもの寂しさも感じました。

3年前ぶりに訪れたセトルマイヤーズ。ポートランド滞在の一番の目的地です。本当に良くしてもらいました。

看板も新調されていました。


かつての看板

ドアを潜ると、内装もすっかり美しくなった店内!「アーロンがちょうどドーナッツとコーヒーを買ってきてるから待ってて」と、初めましての挨拶を交わしたのがスティーブン。それまではオーナーのアーロン・セトルマイヤー氏と工場のメンバーのみで運営していた工場も、新しくブランドの”ブレイン”としてスティーブンを仲間に加え、以前に増してパワーアップしたメンバーで運営していました。


左からヤザワ・スティーブン・ハヤノ・アーロン

ドーナッツを食べながら新作の商談など楽しい話を続けていていたときに、ふと話題に上がったのがセトルマイヤーズの前進、ネルソンズについて。元々は母方の商売だったバーシティジャケット工場は、当時母方の苗字、ネルソンズの名前で運営していました。アーロンの祖母がネルソンズを立ち上げるきっかけとなったのは、同じくポートランド創業のニットメーカー、JANTZENでの経験から。古着好きならお馴染みのジャンセンにもルーツがあるとは、さすが地元の名メーカー。恐れ入りました。

みてよ~と見せてくれたのは、
セトルマイヤーズのルーツ、ジャンセンのロゴのタトゥー!

期待と興奮値をマックスに持って行った新作商談を終えた後は、工場見学です。40年代から稼働を続けるリブ編み機から始まり、最新のミシンやボタン付ミシンなど、新旧の技術が入り乱れた雰囲気が正にローカルファクトリー。


古い編み機のため、手での調整が不可欠。デジタル制御じゃないのです。


後ろに積まれたリブの山。さっきの編み機で編まれたもの。

「パターンを見直したんだ!」と話すのはアーロン。ビジネスは好調でありつつも、彼らの一番の顧客は地元の学生たち。そんな彼らにふと言われたのが、「サイズ表記がわからない。」。僕らにとってはもうほとんど当たり前となりつつあった、36・38と言ったチェストのインチでのサイズ表記ですが、スーツに馴染みのない現代の学生にはわかりにくいようで、それをきっかけにサイズ表記をSMALL・MEDIUMとアルファベット表記に変更した上、パターンにも修正を加えたみたいです。実は今季から当店にならんでいるものもパターン変更後のもの。進化を恐れないのも老舗の秘訣。


ウールはもちろんペンドルトン。

工場見学ののちは、セトルマイヤーズ家のルーツを知る旅へ!実はセトルマイヤーズ家、1800年代にドイツから移民としてやってきて、ポートランドの南で小さな町を起こしたのが歴史の発端。アーロンの曽祖父の曽祖父くらいにあたるのが、その町、ウッドバーンを起こした張本人、ジェス・セトルマイヤーさんだと言うから驚きです。

アメリカらしいただっぴろい道路


彼の生家がモニュメントとして残っています


セトルマイヤーズの歴史を語るアーロンと、それを聞くワタシ


久々に来たと言っていたので、記念に一枚

その後はブドウ畑や牧場を通り過ぎ、ポートランドに戻って彼らのサプライヤー、ペンドルトンのお店へ!

工場はポートランドから東の方面に6時間ほど行ったワショガルへ移転していますが、生地は今でもここで調達しているそう。

「いつかこんな生地でジャケットつくっても面白そう!」とアーロン

ペンドルトンを始め、地元と強烈につながりが深いセトルマイヤーズ。そんな彼らと初めて取り引きをした日本のお店が僕らというだけで嬉しいし、これからの関係も大いに楽しみになる旅でした。

セトルマイヤーズはもちろん、西のアメリカ文化がズラッと並ぶUSONIAN WESTERN STOREはいよいよ水曜、23日から!
では次回の道中記でお会いしましょう!

ハヤノ カイ

2022/11/22

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