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INTERVIEW: ABOUT ALDEN

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明日からスタートのトランクショーに先駆けて、株式会社ラコタの仁保様と対談させて頂きました。
掛け合い形式となっているので普段のブログとは違った楽しみ方をして頂けると思います。
是非最後までご覧ください。

髙梨
実は仁保さんとは展示会の時など何度かお会いはしているのですが、そんなに長い時間はお話したことがなくて、最初に簡単にプロフィールをお伺いしてもいいですか?

仁保
僕のプロフィールですか?需要ありますかね?(笑)
では今の会社に入る経緯から簡単にご説明すると、新卒でセレクトショップに入って販売員として働いていました。その頃はまだコロナとかもなくて海外の方も普通にお店にいらっしゃっていて、接客をするのですが、英語がうまく伝わらないことも多くあって…。そこからカナダのバンクーバーに1年留学しました。

髙梨
思いきりがすごいですね…。

仁保
元から海外とか英語が好きだったっていうのも大きな理由ではあります。
そして向こうで1年勉強しながらいろんな人と関わったりする中で考え方も変わってきたんですよね。日本に戻ってきて、またアパレルの会社で働いていたのですが、
もっと英語を日常的に活かせる仕事がしたいなと思っていたところで今の会社とご縁があって入社しました。
学生の頃からアメリカ靴が好きだったので、その最高峰と言われるブランドを取り扱う会社で働けるのは嬉しかったですね。
最初は店頭で働いていたのですが、今はブランドとのやり取りだったりに少しずつ携われるようになってきました。

髙梨
短い期間の中で、それだけいろんな経験をされているんですね。
そんな仁保さん視点で、Aldenってどんなブランドなのかとか、これはみんなもうすでに知っていることかもしれないんですが改めてAldenの魅力を伺っても宜しいですか。

仁保
そうですね。まずAldenというブランド自体の話からすると、そちらの箱のロゴにも書いてある通り1884年創業で、マサチューセッツ州のミドルボロウというところで始まった
ブランドです。今で言うと、こういう既製靴の流通が主なんですけど最初はオーダーメイドというか受注生産をメインにやっている紳士靴メーカーだったんですね。
この辺は当時僕はまだ生まれてないので資料で知ったことではあるんですけど…(笑)
そんな受注生産をする傍ら、医療用の矯正靴の研究に携わっていて、よく聞くモディファイドラストなんかはその成果で生み出されたものです。
歩きやすい靴、とか今でも歩くためのギアということを掲げながら生産を行ってきた結果、今のAldenがあるといった感じです。

髙梨
僕はそのギア的な要素というか、合理的であるところがとても好感が持てます。
単なるデザインじゃなくてそこにきちんと実があるというか。
それを未だにスニーカーではなくて革靴で体現し続けているところが個人的にすごく魅力的なんです。

仁保
僕もまさに同じようなところに魅力を感じて好きになりましたね。
僕らくらいの年代だと70年代くらいの古靴とかを買って履いたりしてきたことあると思うんですけど、硬いし重いし…。
かっこいいんだけどなんか…と思うところがあったんです。
そこでAldenを学生の時に初めて買って履いたら革靴の概念が変わったというか。
最初に買ったのはモディファイドラストではなかったんですけど、それでもそういう履き心地を実感することができました。
でもモディファイドラストを初めて履いた時は大げさじゃなく本当に衝撃でした(笑)こんな歩きやすい靴があるのか…と。

髙梨
へー!僕まだ実はモディファイドラストは足を通したことがなくて。
やっぱりおすすめですか?

仁保
あ、本当ですか!個人的には完全に一番好きな木型です。

髙梨
モディファイドラストのフィッティングとかってどんな感じなんですか?

仁保
フィッティングは少し変わっていて、まず見て頂くと足の側面の一番膨れているところにあたるボールジョイントと呼ばれる部分が広いのが分かると思います。

髙梨
確かに。そして真ん中がすごいくびれてますね。

仁保
そうなんです。裏から見るとよりあからさまなんです。
そして、土踏まずの突き上げがすごくて、なおかつ上から見るとヒールが膨れてると思うんですよね。
簡単に言うと、前後にゆとりがあって真ん中で絞めるイメージで、前後は自由に余裕をもって足を動かせるんです。
よくマッサージとかで土踏まずを指で押したりするやつあるじゃないですか。
そんなイメージで歩いているとすごく気持ちいいんですよね。一回履くときっとリピートしたくなると思います。
僕はこのモディファイドラストではできないデザインを他の木型のもので買うくらいで、基本的にはモディファイドラストのものがあればそれを選びますね。
店頭にいる時もモディファイドラストのリピーターは圧倒的に多かったですね。

髙梨
モディファイドだとVチップのイメージが強いですよね。

仁保
そうですね。日本ではVチップが代表的なモデルですよね。
それを一足目に選ばれる方が多いのかなと思います。

THE STORE by maidens(以下TSbm)
Aldenと言えば、Vチップのモディファイドラストのコードバンという三拍子というか、その印象が強いと思うのですが、今回USONIAN GOODS STORE(以下、UGS)でセレクト
した中にはコードバンは1足もありませんよね?そこには何かこだわりみたいなものがあるんですか?

髙梨
コードバンは突然の雨が気になり履いてないという声を多く聞いていたので、リアルに気兼ねなく履いてほしいからあえて今回はコードバンは選びませんでした。
僕は古着とかもやっぱり、価値があるからと言って着ないで保管しておくのって、それって本当に価値があるのかって思っちゃうんです。
やっぱり使ってこそ、そのものに愛着がわいたり価値が出たりすると。
もちろんコードバンが悪いってわけではないんです。僕も最初に買ったAldenはヴァンラストのコードバンのコインローファーでしたし(笑)
ただ、革のハリとか水濡れした際のシミなど繊細さがどうしても気になってしまって、ギア的な良さがある物だからこそ天候とかシーンを選ばずに履いてほしいという思いがあり、
お店ではカーフだったりスエードを選びました。

仁保
そういう理由がしっかりとあるとお客さんへの説得力にもなりますよね。

髙梨
今回開催させて頂くTRUNK SHOWではコードバンの靴も持ってきていただけるんですよね?

仁保
もちろん、コードバンの物も入っています。
先ほど水濡れを気にされるという話がありましたが、コードバンに関わらず、全ての革が水には強くないんです。
その為に一般的なショップでは防水スプレーを販売されているんですが、実はこれコードバンには効果がないんです。
その弱点を克服したのが数年前にALDENが開発したLEATHER DEFENDERという撥水スプレーです。
革の表面に膜を作ることで多少の雨なら弾いてくれるので気にせずお履きいただけますよ。
やっぱりUGSのお客様にもコードバン特有の艶を求めている方もたくさんいらっしゃると思いますので、今回のイベントではそのどちらもご覧いただけるいい機会だなと思います。

髙梨
店のセレクトは信念をもって選んではいるんですけど、こういうイベントだからこそ様々な商品を見れるっていう良さがあると思うのでそこは楽しんでもらえたら嬉しいです。

仁保
Aldenの靴ってレザーソールの物でもソールに油分が多く含まれているので、きちんとアフターケアしてもらえれば雨の日でも大丈夫だと思っていて、
僕個人も雨の日にもガンガン履いちゃいます。
髙梨さんの言うギア的な提案もピッタリだと思いますし、本当に気になる方はクロムエクセルの革でソールも元からラバーついてるモデルなんかもあるのでそういういろんな選択肢を踏まえたり、店のスタッフの思いも込みで決めてもらえるといいですよね。

髙梨
ちなみに僕が今日履いてるのがクロムエクセルのタンカーブーツなんです。且つ、ソールはVibramに張り替えていて。

仁保
完全に雨仕様ですね。(笑)
ちょっとしたアウトドアとかに履いたりしても面白そうですよね。

TSbm
使い方によって同じものでも全然違う表情に育っていくっていうのが革靴の醍醐味のひとつでもありますよね。

髙梨
だからこそ、よりリアルに普段使いでAldenを提案したいと思ったんですよね。
UGSはTrue Americaをテーマにアメリカを体現するお店としてやっているんですけど、実際アメリカでAldenって履いている方は多いんですか?

仁保
あ、多いと思いますよ。好きな方多いですし、現地の方はすごいガシガシ履かれている方が多い印象があります。
コードバンでも雨の日も全然履いちゃうとか。(笑)
日本の方って几帳面だったり丁寧な印象があるので大事に履かれてる方多いと思うんですけど、それと違った意味でアメリカの方は大事に使ってるなっていう印象がありますね。
物としてしっかり使ってるというか。

髙梨
ということは、僕のマインドは結構それに近いってことですね?(笑)

仁保
そうです、そうです!

TSbm
カーフやスエードを選んだうえでそういう使い方を提案するのは日本人に寄り添ったというか、いい折衷案な感じがしますね。
Aldenと聞いてラストの種類の豊富さをイメージする方も多いと思うのですが、その豊富さがゆえに心配なのがそれぞれのフィッティングだと思うんです。
今回UGSで取り扱うモデルのフィッティングについてお伺いしたいです

仁保
お取り扱い頂くものと全く同じものではないんですが、同じラストを使用したものをお持ちしました。
モディファイドラストとアバディーンラストのものですね。
ではモディファイドラストの方からご説明させて頂くと、先ほど少しお話にも出たのですが土踏まずのくびれが特徴的な木型になっています。
実際いくらサイズを詰めようと、どうしてもつま先は余るんです。足は真ん中の土踏まずのところで固定されるので捨て寸は絶対にできるように作られています。
かかとも少し緩めに作られているので、前後に遊びを持たせて真ん中で絞めるという感覚ですね。
本国ではこのブランノックデバイスっていう物を使って計測するんですが、これで足長とウィズを測ってそれに合わせて近いサイズをご提案していきます。真ん中部分のフィット
感が大事なのがモディファイドラストですね。

次にアバディーンラストですが、Aldenの中でも一番細い木型ですね。細いのでタッセルモカシンとか内羽根の靴とかによく使われます。モディファイドラストに比べて捨て寸は
やや短めです。こちらは細いので甲の部分のフィッティングが良くて、かかとは楽に履けるという印象です。かかと抜けを心配される方が多いんですけど甲部分でしっかりホール
ドしているのですっぽ抜けることはまずないですね。
タイトなフィット感が好きな方にはすごいハマる木型だと思います。これは私物なんですけど、トウププリングと言って、履いているうちにこういう風につま先が反りあがってくるんですね。反りあがってきたらかかとがより付いてくるようになるので、すっぽ抜けを心配する必要はありません。Aldenの中だとかなりドレッシーな印象の木型にはなるので、
だからこそ今はデニムを合わせたりしてみてもバランスがいいんじゃないでしょうか。
これまでヨーロッパの革靴を好まれていた方とかには、1足目としても入りやすい木型かもしれません。
そういえばUGSでセレクト頂いている、アバディーンのバーガンディカーフって国内でもほとんど流通していないモデルなんですよ。
同じバーガンディがコードバンでもあるので、どうしてもコードバンに目が行ってしまうのですが、そういうレア度もいいですし、きちんとコンセプトをもって選ばれているからいいですよね。そういうところにUGSらしさが出ているかもしれません。

髙梨
あ、そうなんですね。もし探している方がいたら是非来てほしいです。
まだ特に話が進んでいるわけではないんですが別注も企画しようと思っているんですよね。

仁保
そうですよね。なんか別注の企画って、かぶりたくないけどアイデアが結構出尽くしちゃってるらしくて、毎回バイヤーの方が頭を悩ませています。

髙梨
まさにその状態です。間隙を如何に突くか、みたいな(笑)
色々ご相談させてください。

仁保
もちろん、いくらでもお待ちしております。

TSbm
別注も楽しみです。
別注が実際に披露されるのはもう少し先かと思うのですが、5/26から始まるTrunk Showも個人的にも僕楽しみにしていて…。どんな商品をお持ちいただけるのか見れたりしますか?

仁保
もちろんです。いくつかお持ちしてみますね。
本当にそのまま出すものからいくつかお持ちしたのですが、例えばこのミリタリープレーントウは、U.S NAVYやARMYで実際に使われていたものを復刻した379X、
通称ミリタリーラストと呼ばれる木型を使ってるものです。弊社のスタッフ内でも大変人気ですね。

髙梨
よりカジュアルに履けそうですね。

仁保
そうですね。ソールも色見て頂くと分かるのですがオイルド系のソールで、柔らかくて歩きやすいですし、雨とかにも多少強いので、本当にいつでも履いていただけるモデルですね。
これお好きな方本当に多いです。

これはVチップのコードバンですね。Trunk Showでお持ちする商品はサイズが抜けていた
りもしちゃうんですが9なのでこれはサイズもいいですね。

髙梨
これは欲しい人絶対いるだろうなー!

仁保
これも弊社の定番と言える型のひとつで。Aldenと言えばHANDSEWN。このモカ縫いの部分をハンドでやっているのですが、これをできる職人さんが本当に少ないんです。
数人とかしかいなくて、なおかつ日本でも人気が高いので生産が正直追いついていないんですよね。
HANDSEWNのペニーローファーとかだと平気で2~3年待ちだったりしますね。

髙梨
サイズも8Hでゴールデンサイズだし、こんなの好きな人絶対多いですよね。

仁保
これも非常に面白いのですが、普通モンクストラップってアメリカのAldenだと基本的にアバディーンラストが採用されるんですよ。でもこれはモディファイドラストで、
世界的にはあまりないラコタハウスらしいアイテムかなと思います。スリッポンのように楽に履けます。
さらにバーガンディのコードバンは経年変化が黒以上に楽しめます。

髙梨
気になるな~~。モディファイドラスト。

仁保
(笑)
是非一度足を通していただきたいです。
そしてこれが、先ほど紹介したタッセルモカシンのコードバンですね。
一応、人気ありそうなところから5足選んでみたんですが、これでもイベントに持っていく商品の一部ですね。

 

髙梨
これだけでも結構すごいですよね~~おなか一杯になりそう。
この中だと個人的にはHANDSEWNのモカ縫いが気になりますね~。
僕、モカシンバカなんで。(笑)

仁保
モカシンバカは初めて聞きました。(笑)

髙梨
モカ縫いされてるだけで欲しくなっちゃうんですよね…。

仁保
手縫いってやっぱり惹かれますよね。僕も手縫い好きなんですけど、なんか仕事でずっと見てると一周回って逆にマシーンステッチいいなって思ったりもしてます。(笑)

髙梨
一周回るとかあるんすね。(笑)
仁保さんはこの中だとどれが推しとかありますか?

仁保
何度も話に出ちゃって申し訳ないんですけど、個人的にはVチップが一番おすすめですね。
僕履きすぎて、1年に1回くらいのペースでオールソール交換しています。
本当はもっと履けるんですけど、買ったときに好きすぎて履きすぎてすぐソールに穴あきそうになっちゃって(笑)
プライベートでも電車使わず歩いちゃうことも結構あったりするので。

髙梨
逆に言うとそのくらい歩ける靴ということですよね。

仁保
そうなんです。
もちろん体は疲れるんですけど、足の疲れだけの話をすると他のメーカーよりも疲れないと僕は感じます。
実は、取り扱いを始めてすぐにTrunk Showって前例がなくて、なのであえて定番のものを多めにお持ちする予定にしています。
入門編じゃないですけど、接客中のお客様の声もヒアリングしていただきながら今後のラインナップや別注のアイデアに活かす期間にもなればと思っています。
イベント二日目の5/27(土曜)は僕もUGSに立たせて頂くので、お店にとってもお客様にとってもいい会期が送れるようご尽力ができればと思っております。よろしくお願いします。

髙梨
こちらこそよろしくお願いします。

今回ご紹介した、商品はごく一部となっていますので是非ご来店いただき楽しんで頂けますと幸いです。店頭での展開と並行して、SNSでは引き続きラインナップをご紹介してまいりますのでお楽しみに。お問い合わせはお電話/メール/LINE/instagramでお待ちしております。

それでは明日、店頭でお会い致しましょう。

USONIAN GOODS STORE 髙梨

2023/05/25

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