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HISTORY OF A.O. : AMERICAN OPTICAL
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1833年、アメリカ東部マサチューセッツ州サウスブリッジ。眼鏡産業の歴史は、この小さな町から始まったと言っても過言ではありません。AMERICAN OPTICAL、通称A.O.は、宝石職人ウィリアム・ビーチャーによって創業されました。まだアメリカが独立からさほど経っていない時代、彼は「視力矯正」という機能を誰もが使える身近なものにしたいと考えていたそうです。しかし当時、眼鏡はまだ富裕層のもの。大量生産もされていなければ、アメリカ製の製品もほとんどありませんでした。
現在開催中のイベントより、今回は「AMERICAN OPTICAL(以下A.O.)」についての歴史を綴っていこうと思います。
ビーチャーの作った初めての眼鏡は、細い金属線を曲げて成形されたものでした。非常にシンプルで実用的。しかしそれは、後のAOの設計思想にずっと共通していく「無駄のない機能美」の原点だったのかもしれません。AOはやがて事業を拡大し、19世紀末には年間200万本以上のフレームを製造する巨大メーカーに成長します。マサチューセッツの工場は、国内でも最大級の眼鏡生産拠点となり、サウスブリッジの町全体が“アイウェアの街”として知られるようになっていきます。
革新的だったのは規模だけではありません。1874年、A.O.は世界で初めて「リムレス眼鏡」を製造します。ふちのないレンズをワイヤーで支えるこの設計は、それまでの眼鏡に比べて軽く、視界も広く、見た目にもスマートでした。現代でこそ一般的ですが、当時としてはかなり斬新なもので、眼鏡が「矯正具」から「身につける道具」へとシフトするきっかけになったとも言われています。
1900年代に入ると、A.O.の製品は産業や軍事の分野でも採用されはじめます。1914年にはアメリカ陸軍航空隊のためにフライトゴーグルを開発。これが後の「アビエイターサングラス」のルーツとなるモデルです。風圧や光の反射、気圧差などからパイロットの視界を守るために設計され、視野の広さと装着感が非常に重視されていました。
1958年には、今日でも高い人気を誇る名作「Original Pilot」が誕生。上の画像のモデルですね。これはその名の通り、米軍パイロットの装備品として正式に採用されます。A.O.の製品がただのファッションアイテムではないという証明でもありました。
そして1969年、アポロ11号の宇宙飛行士たちが月面着陸を果たすそのとき、彼らが着用していたのがこのOriginal Pilotだったのです。スミソニアン航空宇宙博物館には、実際に使用されたそのモデルが展示されており、「月に行ったサングラス」として、今も多くの人々の関心を集めています。
また、多くの眼鏡には当たり前のように見られるノーズパッドですが、実はこのアイデアもA.O.によるものだと言われています。1930年代、眼鏡の着用者が長時間使用しても快適に過ごせるよう、A.O.は鼻にかかる負担を軽減する方法を考案しました。それが、現代の眼鏡のほとんどに見られる調整可能なノーズパッドの原型です。この革新的なアイデアは、すぐに多くの眼鏡ブランドに採用され、今ではほとんどの眼鏡に標準装備されています。
ノーズパッドの発明は、A.O.が眼鏡業界にもたらしたもう一つの重要な貢献であり、その快適性を提供したことが、長年にわたる人気の理由のひとつでもあります。
映画や政治の世界でも、A.O.は存在感を発揮してきました。たとえば、映画『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロがかけていたのも、AOのOriginal Pilot。
また、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディも愛用していたことで知られているのが、「Saratoga」というモデルです。これは以前ブログなんかでもたびたび言及していますし、そもそもご存知だったというかたも多いのではないでしょうか。今回のイベントにて別注をかけたのもこの「Saratoga」です。
ここで、少しだけ視点を広げてアメリカ全体の眼鏡史を見てみると、アメリカの眼鏡はヨーロッパのように装飾的な要素を中心に発展したのではなく、もっと「視覚の実用性」に重きを置いて発展してきました。19世紀の鉄道労働者、20世紀の軍人や工場労働者、そして科学者や医師たち。すべての分野で、正確に「見ること」が求められていたそうです。その流れのなかで、A.O.は特に「視力を保つための道具」としての眼鏡にこだわって製品開発をしてきました。工業用ゴーグル、偏光レンズ、乱反射を抑えるコーティング技術など、実用性に特化した開発はブランドネームのOPTICAL(光学)の部分からも読み取れそうです。
現代のA.O.は、イリノイ州シカゴを拠点に製造を続けています。手作業で丁寧に仕上げられるフレームやレンズには、今もなお創業者の理念が息づいています。だからこそ、A.O.の眼鏡には時代を越えても変わらない説得力があるのではないかと。
そして今、当店では「AMERICAN OPTICAL SHOWCASE」と題したイベントを開催中です。Original Pilot、Saratoga、Timesなどの人気モデルをはじめ、先に触れましたが別注モデルもご用意。明日(4/26)、明後日(4/27)、火曜(4/29)は総代理店である BROS JAPAN スタッフ様にお越しいただき、その場でフィッティングの調整が可能です。実際に手に取って、かけて、質感やフィット感を体験してみてください。
ふだん眼鏡にあまり関心がない方も、これを機にちょっと覗いてみてはいかがでしょうか。歴史を知ると、一本のフレームにもストーリーが宿って見えてくるものです。
山崎




2025/04/25
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